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外れ馬券裁判

雑談

面白い裁判だなと思ったので,取り上げてみる.

脱税自体は被告も認めており,追徴課税額が争点になっていたとのこと.

 

外れ馬券は経費確定へ 最高裁(2015年2月18日(水)掲載) - Yahoo!ニュース

 

まず,この被告が申告していなかった所得は「一時所得」というらしい.

具体的な説明は,国税庁の下記の記述が詳しい.

 

No.1490 一時所得|所得税|国税庁

 

競馬や競輪,福引などで得たお金が該当し,

「一時所得金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額」

というのが計算式.

で,今回は「収入を得るために支出した金額」が問題だったそうな.

 

例えば競馬のレースが3つあり,それぞれに100円ずつ投じたところ,

第1レースと第3レースの予想は外れたが,第2レースの予想が的中したとする.

倍率を仮に3倍として,300円手に入れたとする.

 

この場合,「総収入金額」は,言わずもがな,第2レースで得た300円.

一方で,「収入を得るために支出した金額」となると,意見が割れる.

 

(1)100円.なぜならば,第2レースの馬券購入費が支出に該当するからである.

(2)300円.なぜならば,全レースの馬券購入費が支出に該当するからである.

 

で,従来は(1)を採用していたらしい.

数式を解釈して判定しろと言われれば,俺もおそらく同じ回答を下すと思う.

第1レースおよび第3レースの負けと,第2レースの勝ちの間には,

何の因果性もないと考えるのが自然だからだ.

300円の元手は,あくまでそのレースに投じた100円のみ,という考えだ.
 

ただ,ここで1つ問題が生じる.

先述の例の場合,最終的には300円を支払って300円を得ているので,

収支としてはプラスマイナスゼロ.

しかし,一時所得は200円と計算されるので,その分の税金を納付する必要がある.

 

「儲かっていないのに,税金を払えだと?そんなのあんまりじゃないか」

と,競馬ファンの間では,昔から非難轟々だったらしい.

 

個人的な意見として,不合理が生じるということは,即ち,

数式そのものが論理的でない可能性があるので,

数式の妥当性にまで踏み込んで,議論されるべき事例だと思う.

 

翻って,冒頭の裁判を見ると,

「馬券購入の金額が大規模で,資産運用とみなせる」

という理由で,被告の主張が認められたとのことだが,

踏み込みが甘い気がする.

 結局,「どのくらいの規模なら資産運用扱いになるの?」という点が

明確でなく,この判例は後世においてほとんど意味を成さないと思うからだ.