NPBが誤審を認めた件について

思いのほか大きな問題になってきたので,話題に挙げてみる.

まず事の経緯を振り返ると,
発端は,9月12日に甲子園で行われた広島対阪神の12回表1アウトの場面.
広島の田中が放った大飛球は,フェンス上部の
観客侵入防止用の忍び返しに当たり,そのままグラウンド側に跳ね返った.
球場の規定上,これはあくまで「ホームラン」となる.

一度は三塁打と判定されたが,
広島の緒方監督が「あれはホームランではないか」と抗議.
NPBでは,HR性の打球に対して審判側が必要ありと判断した場合に
ビデオ判定が行われる決まりとなっており,今回はそれが適用された.

判定は覆るものと思いきや,
ビデオ判定は1分もしないうちに終了し,しかもその結果は「三塁打」.
抗議の材料がない広島は引き下がり,試合はそのまま2-2の引き分けとなった.

翌日の新聞では,この判定がこぞって取り上げられた.
誰が見てもオーバーフェンスだとわかる写真が存在したこともあり,
阪神贔屓で有名な関西版デイリースポーツも含めて
「あれは誤審」で意見はほぼ統一されていた.

その後,広島の鈴木本部長が連盟に問い合わせを行ったところ,
下記の内容で,異例の謝罪が行われた.

(1)誤審であり,田中のホームランと判定されるべきだった.
(2)審判が甲子園のフェンス構造を知らずに判定したのが原因.
(3)何かしらの形で再発防止策は検討する.
(4)試合結果は2-2のままとする.
(5)選手の個人記録も修正はしない.
(6)審判への処罰は下さない.

個人的に,これはかなり甘いと思う.

阪神は,巨人ヤクルトとの三つ巴の優勝争いの真っただ中であり,
広島も勝率を5割に戻してAクラス入りの可能性を見せている.
この状況下で行われた今回の誤審の影響は大きい.
少なくとも(6)については,寝言は寝て言えと言いたい.

(3)についても,「防止策の検討結果をX月までに公表する」と
次のアクションが示されていない現状では,ほとんど意味がない.
なお,対策の一案として,チャレンジ制度導入の声が上がっているが,
判定用の第三者機関の維持に億単位の費用が想定されることと,
地方球場の試合をどうするかという問題が存在する以上,
実現は難しいと思う.

(4)(5)については,理屈ではわかるものの,
やはり受け入れがたいものがある.
せめて,不当な判定を受けた田中を救済する意味合いでも,
個人記録は是正すべきじゃないだろうか.
チームの記録との不整合は発生するが,それは特に問題とは思えない.

誤審を認めて謝罪しただけでも,かなり異例ではあったが,
この内容だと,当面,苦情は止まらないんじゃないかな.


広島が12連戦を終えた後の順位次第では,この件は再燃するかもね.